本日もよろしくお願いします、うめだ店の山本コウです。 さて。 漫画もこれだけ冊数が出ていると、心を動かす名言というものが沢山あります。 今回紹介するのは、そんな数ある漫画の中でもぶっちぎりに(自分調べ)名言溢れる作品です。 「麻雀蜃気楼」全3巻(竹書房:甲良幹二郎) 濃い絵柄に麻雀漫画、と、馴染みのない層には敷居が高く感じるかもしれませんが、心の弱さ・強さを描いた人生賛歌といえる内容の物語で、老若男女、麻雀を知る知らない関わらず広くお勧めしたい作品となっています。 中でも特に自分が好きで、肝に銘じて日々を過ごしている台詞がコチラ。 「ツイてるとは自分を謙遜する言葉で ツイてないとは相手を同情する言葉だろ 決して逆の使い方はしない!!」 麻雀漫画はどうしても"運"という、人にはコントロールできない要素が大きいジャンルです。 それに対するスタンスは作品ごとにいろいろありますが、 ・"運"に頼らない"技"(イカサマ)の勝負にする ・"運"はコントロールできるものとして扱う(能力的なものや、オカルト的なもの等) ・"運"に翻弄される人間を描く と大きく3つに分かれると思っています。 「麻雀蜃気楼」は3つ目の要素が濃く、思いもよらない様々な出来事に翻弄される人間模様を描いた作品になります。 以下、作中の名言を拾い上げつつ、粗筋を紹介したいと思います。 主人公・野中雄二は最初、建設会社に勤める普通のサラリーマンでした。 ところが、現場の人間の紹介で行った、とある雀荘で大勝ちしたことで、自分の中の薄汚い本性に気づいてしまいます。 自分の中にこんな醜い本性があったのかと震えつつも、勝った事で他人を下に見てしまう雄二。 そして負けてたまるかという思いから、イカサマにまで手を出してしまう。 「バクチ場こそ人間の本性が出るんだから」 自分の本性を知ってしまい、他人と比較し、ついにイライラが仕事で爆発してしまう。さらに恋人ともうまくいかない。 逃げるように雀荘に入り浸ってしまうも、そこで下に見ていたヤクザにも自分と変わらない人生があるのだと知る。 そして雀荘「ともえ」のマスターに自分の行いも、腹の底までも見透かされているのを知る。 「(居心地がよかったのは)自分より劣っている奴ばかりいるように見えたから?」 マスターの導きともいえない、千仞の谷へとたたき落とされるような教えの元、雄二は己とひたすらに向き合うことになります。 「お前は何のプロなんだ!!」 「男の生き方はふた通りしかない 強く強く生きること 生半可な優しさや同情などいらん 人を殺してでも生き抜くことだ もうひとつは全てに楽しく生きる どちらも苦しいぞ」 このマスターがまた賭場で生死をくぐり抜けてきた人で、苦みばしる渋さが格好いい中年男性。 「楽しく生きるのが苦しい」ということも説明してくれます。 「強く生きるためには必ず目標がいる それに向かって邁進すればいい しかし楽しくには目標がない それ自体が目標だからだ」 「楽しさは得てして自己満足にすり変わる 人間は自己満足ではいけない 自己納得でないとな」 そして雄二は「強く生きる」と決めて、仕事へと邁進します。 自分を磨く努力が、雄二に自信を持たせていきます。1巻ではあれほど他人に嫉妬し相手を見下していたのが、2巻では、コレです。 「たかが相手は三人じゃないですか 世の中には星の数ほど敵はいますよ」 中盤、(麻雀漫画なので)麻雀のシーンを挟みつつもどちらかというと仕事漫画という感じで話は進みます。
会社の懸賞公募に向けて勉強したり、周囲の無理解に苦しめられたりする雄二。 そんな環境の中でも仕事ぶりを認められ、新たな仕事が振られ...... ここで物語が再び大きく変わります。 立退き交渉をするよう命じられた雀荘が、かつて己を導いてくれたマスターの雀荘「ともえ」。 説得は効かず、最後の望みと麻雀勝負を持ちかける。
しかし、腕の差は歴然。 この勝負が「麻雀蜃気楼」の山場で、実に2巻の半分をかけて行われます。 勝負は決着。 しかし、恩人を追い込んだという思いに押しつぶされ、雄二は皆の前から消えて麻雀に溺れていきます。 勝ち続け、それゆえに苦しみから逃れらない雄二は、ついに「自分を負かせてくれ」とまで言い始めます。 「負かしてくれよ 出来るんだったら 負けたいんだ 俺は」 そんな雄二を解き放ったのは、"負け"ではなく、かつてマスターに連れられて行ったときに知り合ったボクサーの試合。 「もっと凄い生き方 強い生き方とは 夢に向かう進行形の姿そのものじゃないのか......!?」 そして、お世話になった"ママ"の退院祝いの麻雀。 「ともえ」のマスターとの激しく打ち合うような麻雀とは違う、厳しくも暖かい半荘10回。 「一つ歯車が狂ってしまえばもう取り返しはつかなくなる」 「(プロとは)どんなに辛くても どんなに苦しくても 自分の出した結果に言い訳しない」 それらを体感しての、最後のヤクザの賭場での代打ち勝負で出した結論とは。 一回しかない人生をどう生きるか。 読み返しては背筋を伸ばす日々です。
それはそうと。
最後に主人公が決める仕事があります。
「自分の麻雀を活かしたいというのは決めてました
そしてその麻雀は決して人を悲しませてはならない麻雀でありたいと判断したんです」
志はスゴイ立派なんですが、そのための仕事が「ちょ、まてよ」って感じなので、是非単行本で確認してください。
グランドカオス 山本
1週間のアクセスランキング
山本と同じカテゴリの記事
カテゴリ
- お知らせ
- 中野店 (54)
- コンプレックス (8)
- 渋谷店 (12)
- サーラ (6)
- 池袋店
- 宇都宮店 (1)
- 札幌店 (9)
- 名古屋店 (12)
- うめだ店 (6)
- グランドカオス (8)
- 福岡店
- 小倉店
月別アーカイブ
- 2018年12月 (6)
- 2018年11月 (8)
- 2018年10月 (6)
- 2018年5月 (21)
- 2018年4月 (25)
- 2018年3月 (23)
- 2018年2月 (23)
- 2018年1月 (29)
- 2017年12月 (29)
- 2017年11月 (27)
- 2017年10月 (27)
- 2017年9月 (28)
- 2017年8月 (29)
- 2017年7月 (28)
- 2017年6月 (25)
- 2017年5月 (31)
- 2017年4月 (29)
- 2017年3月 (14)
- 2017年2月 (12)
- 2017年1月 (30)
- 2016年12月 (30)
- 2016年11月 (27)
- 2016年10月 (25)
- 2016年9月 (30)
- 2016年8月 (30)
- 2016年7月 (29)
- 2016年6月 (28)
- 2016年5月 (29)
- 2016年4月 (27)
- 2016年3月 (28)
- 2016年2月 (25)
- 2016年1月 (29)
- 2015年12月 (27)