好きな作家の新刊が出るとなると、既刊を見返したりしませんか?
今月は近藤聡乃(こんどう・あきの)「ニューヨークで考え中」の2巻が出るので、自分が同作者の名前を知ったきっかけの作品、「うさぎのヨシオ」を読み返していました。
この漫画、とても素敵なんですが、自分の周りにもあまり知っている人がいなくて勿体ないと常々思っています。
なので、この機会に紹介したいと思います。
近藤聡乃「うさぎのヨシオ」
主人公の名前は鈴木ヨシオ(ペンネーム)。本名はピョン吉。種族はうさぎ。
漫画家目指して喫茶メリイにてバイト中。
四コマ漫画で、うさぎのヨシオのどうということのない日常と鬱屈を描いています。
シンプルな絵と軽快な会話、えぐり取るような視点で、ちょっと類を見ない読後感になっています。
自分がこの漫画に注目し始めたのは2話目から。
喫茶メリイのオーナーは新聞四コマでしか漫画に触れない。だから漫画=四コマだと思っていた。そのオーナーがストーリー漫画というのもあると知って、言う。
「漫画って自由なのね」
その言葉にヨシオは感動する。
ヨシオが漫画家を目指したきっかけは、つげ義春「ねじ式」!
しかし、ヨシオはつげの影響が大きすぎて、どうしても"自由"に描けないのだ。
そして上手く描けないために、つい現実に逃避してしまう。描けない理由を探してしまう。
こうしたヨシオの鬱屈を軸に話は進みます。
そして、もうひとつの話の軸が、ヨシオの恋物語。
こんな感じで、ヨシオの漫画家への努力と恋物語が、この漫画の二つのメインストーリーになります。
ついでに上のコマにもあるように漫画ネタも多い。「銀河鉄道999」や「めぞん一刻」「感染るんです」「ベルサイユのばら」etc
もちろんつげ義春ネタは多いし、他にも梶井基次郎やサン=テグチュペリとか文学ネタも。
以下のコマなんかは、このマンガ、どこの雑誌でやってたんだ、って感じの混沌としたコマになっていますね(ちなみに連載はエンターブレインの「fellows!」)。
こんなヨシオが、ミュージシャン志望のイケメン・つばさくんと出会うことで、話が一気に動きます。
そしてふっきれた後の展開は爽快のひと言!
お互いがお互いをフォローし合うだけでなく、今まで気付かなかった自分を見つけるところがまたイイんです。
いわゆる「漫画家マンガ」の系統ですが、飄々とした絵柄に四コマ、さらにうさぎ、と独特の雰囲気を醸し出しています。漫画好き、文学好きにオススメしたい作品です。
個人的に好きなのが、作中に出てくる古本屋「次の本 一刻堂」。
店名の通り「次の本のおすすめ」が名物の古本屋。
手塚治虫「どろろ」の次にオススメするものが澁澤龍彦「高丘親王航海記」だったり、「ドグラマグラ」と「ぐりとぐら」が並んでいたり!?
ちょっと楽しそうですよね。
近藤聡乃作品の通販はこちらから→https://order.mandarake.co.jp/order/listPage/serchKeyWord?keyword=%E8%BF%91%E8%97%A4%E8%81%A1%E4%B9%83&categoryCode=11&shop=55&soldOut=0
グランドカオス 山本
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