最近、ジビエ料理が流行っているらしいです(ソースはN○K)。
漫画を読まれる方では「ゴールデンカムイ」(集英社:野田サトル)や「山賊ダイアリ
ー」(講談社:岡本健太郎)で馴染み深いかもしれません。
私、うめだ店スタッフ・山本がジビエ......と言うよりも「狩猟」と聞いて思い浮かべる
のは稲見一良(いなみ・いつら)という作家です。
というわけで、今回ご紹介するのは、稲見一良の短編小説を谷口ジローが漫画にした「
猟犬探偵」全2巻です。
原作者の稲見一良は狩猟を嗜んでいて、書かれるのは狩猟小説であり、ハードボイルド
小説。著者の言葉を借りると
「ハードボイルドの厳しさと感傷を底流にした闘争の話」
です。
知識を活かした猟の描写は具体的かつ説得力があり、谷口ジローの作画とあいまって、
見事な迫力となって読者に迫ります。
猪狩りの様子など、犬も一緒になっての集団行動だというのが分かります。まさに闘争
です。
もっとも「猟犬探偵」は狩猟がメインではなく、猟犬探し専門の探偵・竜門卓の物語で
、テーマは"誇り高き男の、含羞を込めた有形、無形の贈りもの"です。
この「含羞を込めた」というものが、実にいい味になっていて、和製ハードボイルドの
傑作と言われる所以だと思います。
たとえば1巻「セント・メリーのリボン」 。
ヤクザの依頼も専門外だと突っぱねる一方、
女の子に贈り物をするのに口上をとちらないように練習したりもします。
ヤクザ相手に一歩も引かない男でも、ガサツではなく、優しさをもって人に接する格好
よさ。憧れますね。
原作は短編小説で、1巻にあたる「セント・メリーのリボン」はまさに表題作になって
いる短編集「セント・メリーのリボン」に、2巻にあたる「サイド・キック」は著者の
死後刊行された追悼連作短編集「猟犬探偵」に、それぞれ収録されています。
そう、著者はかなり以前に亡くなっています。10年におよぶ癌との闘病生活の末の死で
した。
作家業に専念したのも「生きた証を残したい」ということで、闘病生活と平行してのも
のだったそうです。
物語は、猟犬専門のはずの竜門が、大型犬とはいえ盲導犬探しを依頼され、盲目の少女
と出会う話です。
犬の描写も詳しく、猟犬だけでなく、盲導犬とはどういうものか、ということも分かり
ます。
ジビエや狩猟に興味を持たれた方の、次の一冊にオススメする作品です。
ところで。
「セント・メリーのリボン」が1993年刊行、亡くなられたのと「猟犬探偵」の刊行が19
94年です。
そして谷口ジローによるコミックスが描かれたのが2011年。実に18年もの歳月が経って
からのコミカライズ。漫画のあとがきによると、谷口ジロー本人によるコミカライズ希
望ということで、原作に対する愛情溢れた作品に仕上がっているのも納得でした。
何が言いたいかというと。
同作者の作品で「ソー・ザップ!」(1990年刊行)という作品があります。レッドムー
ン・シバと名乗る男が己の人殺しの技量を試したいがために、自分に三千万円もの賞金
をかけた。この挑戦を受けたのが、元レスラー、手裏剣と小太刀の名手、大型獣のハン
ター、狙撃の名手の元警官......雄大な山野にて、5人の男によるマンハントが始まる...
...という作品。
稲見一良の自然への畏敬の念、ハードボイルドな男たちの生き様、銃や自然への深い造
詣などがふんだんに含まれつつも、実に漫画向きなこの作品のコミカライズ、まだまだ
ワンチャンあるんじゃないかな? かな?
(うめだ店/山本コウ)
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グランドカオス 山本
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