麻雀漫画をオススメする記事、第2回目です。
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麻雀漫画をオススメしてみる 第1回
麻雀漫画を紹介する上で外せない人物として阿佐田哲也がいて、この人物については何度も言及しましたが、もう一名、スター選手としていい人物がいます。
それが雀鬼・桜井章一
漫画では、20年間無敗、という肩書きで紹介されることが多く、現在では"雀鬼会会長"という肩書きのほうが通りがいいかもしれません。
阿佐田哲也は物書き業をしつつも、生粋のギャンブル狂であり、それゆえに愛される人物でした。
逆に、桜井章一は圧倒的な強さと厳しい精神論で、崇められ、雀鬼流道場を立ち上げることで一派の長となった人物です。
現在では自己啓発系のビジネス書を多く出していることからも分かるように、他者をも律するその風潮は、合う合わないの個人差が激しい。桜井章一を主人公にした麻雀漫画も数多いけれど、エンターテイメントとしては説教臭さが混じって純粋に楽しめないものが多いのが事実です。
そんな数ある桜井章一を主人公にした麻雀漫画の中から、純粋にエンターテイメントとして面白い作品が、こちら。
神田たけ志「ショーイチ 20年間無敗の男 桜井章一伝」全9巻
ノンフィクションの風を装っていますが、さて、どこまで嘘か本当か。ただ、単純に物語として面白い。
序盤は桜井章一が麻雀を覚える学生時代から始まり、素人を食い物にする熊(裏プロ)やヤクザに対して、暴力には屈せず、技で仕返して懲らしめる、という水戸黄門のような黄金パターンの短編を幾つか積み上げます。
そしてイカサマ麻雀漫画の傑作「治外法権麻雀」が14話のロングエピソードとして始まります(コミックス4・5巻収録)。
拉致された桜井章一が連れられてきたのが「西側の或る大使の私邸」という治外法権で、何の説明もなく、一切の発言も禁止という状況で勝負の場に立たされるところから勝負が始まります。
四人が四人ともロン・ツモ、点数(上がり役)申告以外の発声をしない。会話がない状況だが、裏技の応酬でまさに"会話"がなされるのが見所。
積み込みの段階での応酬が第一段階。
そしてすり替え、ぶっこ抜きetc、あらゆる技の応酬そして心理戦の第二段階。
何より秀逸なのが"四人の応酬"になっているという点だと思います。麻雀(四人麻雀)は1対3が現実ですが、漫画という表現上、また分かり易さの面からも1対1のような表現になることが多いのです。
しかしこの「治外法権麻雀」は会話を一切省いたうえで、全員の積み込みや裏技を表現することで、実に見事に4人の対決、という麻雀の醍醐味を描いています。
状況に応じて、各自が臨機応変に対応していく。直前まで協力していた相手が、一瞬後には敵になる。そんなヒリヒリした緊張感が、終始張りつめています。
相手の技に対して、どのような技を返すのか......という当たり前のイカサマ麻雀漫画の限界を超えて、流し読むだけだと何がどうなっているのかすら分からない複合技の応酬の密度は他の追随を許しません。
そして漫画「ショーイチ」はこの「治外法権麻雀」を境に転調します。
引退に向けて、師匠を求めての、桜井章一の模索の旅が始まり、最後の「一人だけの引退試合」へと収束していきます。
脇役、とくに前半出て来るキャラに味のあるキャラが多く、定時出勤定時退社をしてひと月で常にほぼ同じ額だけ勝ち続けて"サラリーマン"として家庭を養う「サラリーマンプロ」とか、もう肩書きで笑ってしまう「銀座の夜の帝王」の負けっぷりとかは、それだけでも充分に読んで欲しい魅力に溢れています。
サラリーマンプロ。雀荘に「出勤」。
銀座の夜の帝王の見事なまでのやられっぷり。
最後に、せっかくなので「雀鬼会(雀鬼流)」に関しても軽く触れておきます。
「雀鬼流」といえば「1打目に字牌を切らない」「ドラは聴牌するまで切らない」
「打牌が早い」くらいの通り一遍な理解がまかり通っています。
しかし、興味を持った人がそうした表面的なことで勘違いしてしまうのも勿体ないので、入門書として以下をオススメしておきます。
谷口亜夢「雀鬼サマへの道」全5巻
麻雀好き&雀鬼サマ大好きな漫画家・谷口亜夢が雀鬼会に入って教わっていく話になります。入門者からの視点なので、疑問点や解説が実に分かり易い。
特に雀鬼会に興味があるけど、近くに雀鬼流道場がない、という人にとって1・2巻は必読と言っていいでしょう。「何故最初に字牌を切ってはいけないのか」「何故ドラを大切にするのか」「何故~」と様々な部外者からの「何故」に答えてくれます。
3巻以降は雀鬼会員3名+作者の対局に雀鬼サマが解説をする、という形でまるまる使われるので、細かい状況に応じた考え方を知りたい、という向き以外にはあまり......
「ショーイチ」でも書かれていた「天運」「地運」の話もかなり詳しい......が。
ここらへんはまだ門外漢の私にも分かる。
うん、ちょっと何言ってるかよく分からない。
駄洒落......?
なお、この漫画が書かれたのももう15年以上前なので、現在のものは変わってしまっているかもしれない点はご注意ください。
最後に「雀鬼会の目的と心得」を載せて今回のブログは終わりとします。
【次回予告】
現在血みどろ麻雀漫画を書いている作者の、お気楽極楽麻雀漫画を紹介予定。
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