元気ですかーッ!!
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『モキュメンタリーズ』百名哲
「モック(まがいもの)」+「ドキュメンタリー」=モキュメンタリーとして、作者が実際に取材した話、人物を元に構成した一話読切スタイルで様々な人物像を描く。
作者自身をモデルとした「百野哲」がストーリーテラーとなって物語が進行していきます。
単行本一話目ではまさに出演作品一本のみを残し姿を消したAV女優をめぐって、その作品を百野がネットオークションに出品した事がきっかけで思わぬ出会いが。
その男はたった一作品をいくつもオークションで落札し続けていたのです。その訳は...。
あの女優良かったなぁ、今どうしているんだろう、なんて事は男子なら一度は思った事があるはず。(え、ない!?)
そんな取るに足らないはずのヤローのキモチが見事に感動の物語として描かれていて、何だか自分の中の過去の記憶までもが供養された、そんな気分になれます。
続く二話目はオーストラリアからやって来たアイドルヲタクの青年に、百野がカメラを携えて密着取材。
そういえばこんな感じのグループ名、あったなぁ。
アイドルとは特殊なジャンルで、それを趣味にすることに何故か理由や意義を問われます。
それに対する答えを用意しておかないと、こういった偏見に立ち向かうことが出来ずただただ変態扱いされる恐れが生じてしまったりするのです。
そんなキレ気味の謎の女子を帯同し東京から浜松のライブ会場まで徒歩で目指す先に彼が見たものとは...。
三話目では住居を追い出されホームレス状態になった百野がバングラデシュにいる友人に誘われ言われるがままに現地で「自分探し」の生活を始める。
都市部ではなく海辺で物々交換で漁師の獲った魚を食べる毎日。
しかし次第に・・・。
そしてたどり着いた結論とは...。
それぞれシチュエーションは異なるが、四話目を除いて共通して語られている前提として百野=百名センセが漫画家だけでは満足な収入が得られずにネットオークションで生活費を捻出し、テレビ番組制作のお手伝いでカメラ片手に撮影業務をこなし、果てにはホームレスで海外逃亡...。
もっともこれはあくまで「モキュメンタリー」であり、全部が全部実話という訳ではないと述べられてはいますが、職業柄普通に名前を認識していた漫画家さんが貧困に喘ぎ、将来を憂い、自分探しをするという描写はリアルで、少なからず実像に近いのであろうとしか思えず、そこに一番の驚きがありました。
そして過去のAV女優に未だ想いを馳せる男やはるばるオーストラリアからアイドルを追っかけに来る男、百野を誘ったバングラデシュで自分探しをする幼なじみなど、ふらふら思い悩む百野に対して強烈な生き様を見せつける人物たち。
百野と彼らの違いは何か。それは"情熱"の一言でありましょう。
最後にオーストラリア人のドルヲタ君が発したこちらの言葉で締めたい。
そうか!ステージに向けた声援は自分へのエール、CDを大量に買ったりするのは自分への投資だったんだね!
どーですか、お客さんッ!!
(担当 清水)
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中野店 清水
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